人は寝ないとどうなるのか? (睡眠不足)

 「2007年の日本における危険因子に関連する非感染性疾患と外因による死亡数」という報告によると、原因別に最も健康に悪いのは「喫煙」「高血圧」「運動不足」「高血糖」「塩分の高摂取」「アルコール摂取」となっています。

いいマットレス

 高血圧と高血糖(糖尿病)は、原因というよりもすでに病気、またはその予備軍ですから、死亡率を高める健康習慣という意味では、喫煙と運動不足がトップといっていいでしょう。ただし、この研究結果には「睡眠不足」が含まれていません。ランキングの下位を見ても出てこないので、そうした分類自体を行っていないようです。

  睡眠不足の悪影響が現れてくるまでには、10年、20年以上の年月を要するため、非常に統計がとりづらい。睡眠不足は、時間差でジワジワと悪影響が訪れる非常に怖い悪習慣でもあります。

 個別の研究でみると、睡眠時間が6時間未満の人は正常な人と比べて、がんが6倍、脳卒中が4倍、心筋梗塞が3倍、糖尿病が3倍、認知症が5倍、鬱病が5.8倍、自殺率が4.3倍も、リスクが高いという結果が見られます。
 これらの疾病リスクは、喫煙に匹敵、病気によっては喫煙のリスクを凌駕しています。ということで睡眠不足こそが、私が考える最も健康に悪い生活習慣です。最近では、睡眠中にアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβ蛋白が脳の中で洗い流されることがわかりました。つまり、睡眠不足の人はアミロイドβ蛋白が洗い流せずドンドン溜まっていくため、認知症のリスクがとても高いわけです。

 10年、20年先も健康的に長生きしたければ、きちんと眠ることをおすすめします。睡眠時間が6時間未満だと睡眠不足、健康のためには「7時間以上の睡眠」が必要だと覚えておきましょう。

 

健康と長寿を守る「3つ習慣」

 

  特に糖尿病、高血圧、肥満の人(またはその予備軍)にとって、食事の改善は極めて重要ですが、実際は指導をしても多くの人が守れません。だから、食事よりも取り組みやすい「睡眠不足」や「運動不足」の改善から取り組むことをお勧めしています。喫煙も同様で、喫煙者にとって、それは健康を阻害する悪習慣であることは既知のものです。有害性を今さら指摘したところで、禁煙する人も少ないでしょう。
 健康を守るためには、やれることからやっていくことが重要です。紹介する「7〜8時間程度の睡眠」「つながりを大切にする生活」 「20分の早歩き」は食事制限や禁煙よりも比較的取り組みやすいものなので、ぜひ実践してみてください。